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正解のない「子育て」に向き合うために。子育てにコーチングを生かすための5つのヒント

子どもを育てるのは本当に大変だ、というのは誰もが知っていますが、ご両親や、子育てに関わる大人が特に苦しく感じるのは「子育てってこれでいいのかな」と考え込んでしまうときではないでしょうか。

頭の中で悩みが渦巻いているときには、親自身の心の中を覗いてみると突破口が開けることがあります。

今回は、THE COACH ICPの松浦 瞳(まつうら ひとみ)さんが、コーチングの観点から子育ての悩みと上手に向き合うポイントをお伝えします。子育てにまつわる悩みを紐解く、小さなキッカケになりますように。

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語り手:松浦 瞳(まつうら ひとみ)
外資メーカーに入社後、コンサルタントに転身。東京・シンガポール両オフィスに所属するコンサルタントとして、マーケティング・ブランド戦略の立案などに従事。その後、日系メーカーの経営戦略部を経て独立。独立後は、戦略コンサルタント兼、ライフコーチとして活動。2021年1月よりTHE COACHに参画。国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)。

1. 子育ての納得感や達成度を振り返ってみる

「どうしよう……」と悩みを抱えたとき、悩みに真っ向から対峙する前に、「本当はどうありたいのか?」「ありたい姿に対しての今の納得感」を確認してみましょう。

①「本当はどうありたいのか?」を見つめ自分の願いや想いに立ち返る
② ①を踏まえて、今日が何点だったか数字で表す

と進めると、客観的な振り返りができるためおすすめです。

たとえば、①「『親として大切にしていること』をどのくらい実現できたのか?」という観点で考え、「②今日は10点満点中○点だった」と点数を出す、いう具合です。さらに、加点した理由を改めて言葉にすると、大切にしていることの中でも特に重視している部分が見えてきます。

もし点数が低かったとしても、落ち込む必要はありません。大切なのは、点数によって評価判断をすることではなく、自分は今何点なのだと自覚し、その上で「本当はどうありたいのか?」に改めて立ち返ること。

子育てに関する悩みと上手に付き合っていくためにも、まずは、「子育てに関わる中で起こる自分の気持ち」を観察し、本当にありたい姿を見つめる機会を設けてみてはいかがでしょうか。

2. 悩みが生まれる前提を見直してみる

うちの子は年齢相応のことができていないのでは、と悩む大人も多いのではないでしょうか。こうしたモヤモヤがあるときは、自分が大前提だと思っていることに意識を向けると、新たな気付きが得られるかもしれません。

「2歳ぐらいなら、積み木遊びができるはずだ」 
「3歳になっているなら、自分から挨拶ができて当然だろう」
「1年生なら、跳び箱くらいできて当たり前」

これらの線引きは、すべての子どもに当てはまるわけではありません。あくまで目安として考え、その子自身が今どう成長しているのか、昨日からどれだけ出来るようになったのか、という部分に目を向けてみるのはいかがでしょうか。

子育てをする大人が、自分でも気づかぬうちに前提にとらわれている場合もあるかもしれません。「自分自身の前提や固定観念」がもやもやを生み出している可能性があるかも?ととらえなおすと、そもそも「自分の前提や固定観念」を子どもに押し付けて良いのか?それ以外の可能性はないのか?と見直すきっかけになります。

そのことに気づくだけで、モヤモヤの解消に一歩近づくことができますよ。

3. 子どもにしてあげたいと思ったことを、自分にできているか確認してみる

子どもの話をゆっくり聞いてあげたいと思うのに、なかなかできなくて申し訳ない。お子さんの年齢に関わらず、よく聞くお悩みです。

何かをしてあげられなかったとき「子どもが気の毒だ」「申し訳ない」というほうに考えが向いてしまいがちです。しかし今一度、大人自身の「やってあげられなくて、しんどい」という気持ちにも目を向けてみませんか。

「子どもの話をきいてあげられなくてしんどい」と思っているとき、ご自身の中にも「このしんどい気持ちを聞いてもらいたい」という思いが、少なからずあるのではないでしょうか。

「聞いてもらいたい」という気持ちが痛いほど分かるからこそ、子どもには話を聞いてもらえたという経験をさせてあげたいと願っているはずです。

大人が子どもに与えたいと思う幸せは、大人自身が人生において欲している幸福感そのものだった、ということも多々あります。大人と子どもが共に幸せを感じられるよう、家族や地域の人など、周囲の大人の方とも協力して子育てしていけるといいですね。

4. 子どもの言うことを素直に受け取って、応じてみる

子どもがいつまで経ってもやるべきことをやらず、常に「〜しなさい!」と言っている……という大人も多いことと思います。なぜ言うことを聞いてくれないのだろう、とモヤモヤしますよね。

もし、「~しなさい」と伝えたときに、子どもがこんな言葉を返してきたとしたらどうでしょうか。

「ママに『はやくやりなさい』と言われると、やる気がなくなるんだよ」

大人としてはイラッとしてしまいそうです。しかし、これを聞いて「この子はそう感じていたのか!」「私が言うことによって、やる気が下がるんだ!」とニュートラルに受け止められたのならば、悩みの解消は目前と言っても過言ではありません。

大人が「はやくやりなさい」と声かけしなかった場合はどうなるのか、子どもの行動を観察してみましょう。実際に、大人から指示されたタイミングでなく自分がやりたいと思ったときならば、宿題や手伝いを進んでやるという子もいます。

大人からすれば口答えに思えるような発言でも、本人は正直に自分の気持ちや考えを伝えているだけかもしれません。

子どもの発言を受けとめて行動を見守ってみると、予想外の反応が見られて子どもの成長を実感できることもあります。

5. 自分が不安に思っているということを認める

最後のポイントとしてお伝えしたいのは「不安や悩みがあってもいい!」ということです。

コーチングの場では、クライアント(コーチングを受ける人)がネガティブな思いを深堀りするうちに、「私はこんな理想を持っていたのか」「自分はこうありたいという願いがあったんだ」と気づくことがよくあります。つまり、コーチがそこにいるだけ、見届けるだけで、クライアントは自ら成長していくのです。

成長の真っ只中にいる子どもも、同じではないでしょうか。生まれたときから自分で成長する力を持っていて、親はそれを見守るだけ。親が子どもの話を受けとめたり、対話の相手になったりすることで、さらにたくましく成長していきます。

大人である皆さんも、子どもを見守りながら、ご自身の心の中を優しく観察して過ごしてみてください。子育ての悩みは完全に無くならなかったとしても、「心に好奇心を向ける」「感情に目を向ける」を意識するだけでモヤモヤが整理され、さらには「自分が大切にしたいと願っていること」がくっきりしてくると思います。

大人の願いを大人自身が尊重し、自分の心と上手に向き合えるようになれば、子育てから得られる楽しさや面白さが何倍にも大きくなることでしょう。

大切にしたいことがあるからこそ、悩みが生まれる

ここまで、コーチングの観点から子育ての悩みを紐解いてきました。子育てに関わる人なら誰もが抱えたことがある「悩み」。それは、子育てにおいて大切にしたいことがあるからこそ生まれるものではないでしょうか。

子育ての悩みは家庭ごと、親子ごとに異なるもので、ご紹介したポイントをなぞることで“正解の子育て”ができるというわけではありません。しかし、今回の記事が「子育てで何を大切にしたいのか」に立ち返るヒントになり、皆さまが肩の力を抜いて「悩み」と向き合うことの一助になれば幸いです。

今回ご紹介した内容は、コーチングの観点から考える「子育ての悩みと上手に向き合うポイント」でした。THE COACH ICPでは、コーチングについて体系的に学ぶことができ、受講者から「子育てにコーチングを活用できるようになった」とお声をいただくこともあります。

コーチングをきちんと学んでみたい、コーチングの学びを通して、より本質的な気づきを得たいと考えている方は、ぜひ体験会に参加してみてください。